日本の森林を大きく分けると、天然林と人工林とに分類されます。
「天然林」は人の手が介在していない自然にできた森林のことで、さまざまな樹種が混在して生えています。一方「人工林」は人間が資源として利用するために植林したもので、私たちの暮らしと共存させつつ、木の有効活用を考えてつくる森林です。
人工林においては、森林全体の炭酸ガスの吸収力を高めるため、光合成をあまり行はない木は伐採(間伐)し、若くて元気な木を育てていくように管理されています。このような人工林(森林資源)は、他の鉱物資源や化石資源とは違い、“採ったら植える”という再生が可能な資源なのです。この「再生の原理」を守ることで、半永久的に利用できる資源と言えます。
日本の人工林の殆んどは建築資材を目的としたスギやヒノキが多く、樹齢60年前後が最適な大きさに育つ年齢となります。したがって、その時期を目安に伐採、植林を繰り返すことが「炭酸ガスの固定化と木材利用」の最も効率的なサイクルと言えます。
しかし、現在日本の木材需要状況は、外国産(輸入)材の増加、住宅の非木造化、環境負担の大きい建材の多様化などの要因により、国産材の需給率は2割を割り込む状況にあります。日本の木が使われなくなった結果、国産材の価格は大きく値下がりし、森林を支えてきた林業は衰退の一途をたどっています
こうした状況は、戦後植林され今まさに伐採適齢期を迎えている多くの森林に手を加えることが出来ず、放置、放棄され、森林の荒廃を招くことになります。
私たちは森林の大切さを改めて認識し、現在の環境を維持、改善するためにも、他国で無謀に伐採し大量のエネルギーを使い運ばれてくる外国産(輸入)材や、産地の不透明な木材ではなく、私たちと同じ環境で育ち、伐採適齢期を迎えた地域材(国産材)を積極的に活用し「再生の原理」を守り、効率的なサイクルを再構築し、次世代に引き継ぐことが、私たちの大きな役割であると考えます。
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